ビタミンC

4.ビタミンCの発見と壊血病

今では誰もがその名前を知っている「ビタミンC」。

しかし、実はビタミンCが発見されてからまだ100年程しか経っていないのです。

ビタミンCが発見されるまで、どのような歴史を辿ってきたのか・・・。少しみていきましょう。

目次

▼大航海時代の船乗りに現れた恐ろしい奇病

▼壊血病の治療法は「オレンジ」と「レモン」

▼ビタミンCが発見されたのは1900年代

▼現代でも起こりえる壊血病

▼特にビタミンCが不足しやすい方

大航海時代の船乗りに現れた恐ろしい奇病

15世紀末以降の大航海時代に、長い航海で野菜や果物が不足すると、船員達にある症状が起こり始めました。その症状とは、多くの船員の手足が腫れあがり、やがて歯茎も腫れて歯を失ってしまい、食事が摂れなくなってしまったそうです。やがて手足の腫れは他の部分にも広がり、多くの船員が命を落としました。口や鼻から多く出血し、いかにも血が壊れていくようだったそうです。想像するだけでも恐ろしい光景ですよね。後に、この恐ろしい病はビタミンCが欠乏することによって生じる「壊血病」だということが判明しました。

壊血病とは、ビタミンC不足によってコラーゲンの生成が不十分となり、毛細血管がもろくなり出血する病気です。口や鼻から出血し、いかにも血液が壊れていくような症状だったことから「壊血病」と呼ばれるようになったのです。

他にも歯肉炎、全身倦怠感、関節痛、貧血、食欲不振などの症状が現れるほか、子どもでは骨や歯の発育が阻害され、骨折や骨の変形などがみられる病です。

壊血病の治療法は「オレンジ」と「レモン」

この見るからに恐ろしい病「壊血病」はなぜ起こったのでしょう。

長い間船乗りたちを苦しめてきた壊血病の原因や治療法を探る為18世紀の中頃立ち上がったのがイギリス海軍の船医ジェイムズ・リンド。リンドは壊血病にかかった12名の水平全員を可能な限り同じ条件にするため、はじめに同じ部屋に入れて全員が同じ食事をするようにしました。そしてその後で2人ずつ14日間、6種類の異なる食事を食べさせたところ、オレンジやレモンを与えられた水平は6日後に顕著に回復したのです。

これにより「壊血病の最も効果的な治療薬はオレンジとレモンである」と結論づけました。

ビタミンCが発見されたのは1900年代

このリンドの実験を経て、1919年に生化学者ジャック・ドラモンドがオレンジ果汁の中にある壊血病を防ぐ物質を発見し、翌年初めて「ビタミンC」と名付けられたのです。

その後、1970年代の初め、アメリカのノーベル賞受賞者ライナス・ボーリング博士が「ビタミンCを1日2~3g摂ると風邪を予防できる」と発表。

その後1976年ボーリング博士とスコットランドの外科医、E・キャメロン博士が「スコットランドの末期癌患者に対してビタミンCを大量投与(1日10g)したところ、4年もの延命効果を発揮した」という試験結果を発表。

では、壊血病がビタミンC欠乏による起こることが分かった現代では、もう壊血病になる人はいないのはというと、実はそうではないのです。

現代でも起こりえる壊血病

2008年、先進国のアメリカにおいて、壊血病患者が報告されているのです。

この患者は、喫煙習慣のある57歳の白人男性。病院に来た時には足に大きなあざがあり、呼吸困難に陥っていたそうです。担当した医師は始め、外相や血液凝固阻害などを疑いましたが、検査の結果これらの病気ではありませんでした。

しかし、食歴を詳細に調査したところ、意外な事実が判明したのです。

原因は、なんと!重度のビタミンC欠乏でした。

この患者は、電子レンジで加熱するだけで食べられる冷凍食品の詰め合わせパックとスープや野菜の缶詰だったそうで、熱や空気に弱いビタミンCはほぼゼロの食事だったのです。

Set of various frozen products, vegetables and meat

一見野菜を食べているので、栄養がしっかり摂れていると思われがちですが、ビタミンCは安定しない栄養素。スープや缶詰だけでは足りるはずもありません。

幸いこの男性は、1日1gのビタミンCを投与され、投与2週間で完全に回復されたそうです。

現代日本でも壊血病を発症したケース

ショッキングなことに、この日本でも今だに壊血病患者の報告があるのです。

2002年、この患者は慢性腎不全を長い間患って、人工透析を受けていました。その後腎臓の移植手術を受けることが出来、術後の経過も良好だったそうですが、翌月から喀血が起こり、症状が急変。肺胞からひどい出血がみられたそうです。

原因は血管壁がもろくなったことによる出血。

この血管壁をもろくさせた真の原因こそ「ビタミンC欠乏」。

この患者は、慢性腎不全のため長期間に渡り食事制限を受け、ほとんど新鮮な果物や野菜を食べなかった結果、ビタミンC欠乏により壊血病を引き起こしたのです。

しかし幸いなことに、この患者も1日1gのビタミンC投与により、数日間で良くなったそうです。

このように、飽食時代ともいわれる現代、様々な情報の豊富な先進国においても、壊血病は存在します。

特にビタミンCが不足しやすい方

慢性的なアルコール中毒者、高頻度の喫煙者、一人暮らしのお年寄りなどは、新鮮な野菜や果物を十分に摂取しておらず、知らず知らずのうちにビタミンC欠乏に陥り壊血病を発症するケースがあります。壊血病を未然に防ぐためには、食事制限を受けていたとしても、それは必要な栄養素を十分に摂り、必要以上のカロリーや糖質、食事量を減らすことです。

ぜひビタミンCの大切さを再確認し、手軽に食べられる物だけでなく新鮮なお野菜や果物も摂るようにしましょう。