目次
▼乳酸菌とは何か
▼乳酸菌の効果
▼効果的な摂り方と注意点
▼乳酸菌を含む代表的な食品
▼乳酸菌とは何か

乳酸菌とは、特定の菌を表す名称ではなく「糖を利用して乳酸を大量に作り出す微生物の総称」です。乳酸菌は腸内で大腸菌など悪玉菌の繁殖を抑え、腸内菌のバランスをとる役割を果たしています。そして便通の改善だけではなく、コレステロールの低下や免疫機能を高め、がんを予防するなど、さまざまな働きがあると言われています。最近ではピロリ菌を排除するなど、特徴のある機能を持つ乳酸菌も研究されています。
乳酸菌の種類は200種類以上あり、自然界のあらゆる場所に存在しています。乳酸菌などの腸内環境を整える微生物のうち、生きて腸に到達できる有用な微生物を特にプロバイオティクスといいます。またオリゴ糖などその栄養源となりプロバイオティクスの増殖を助けるものをプレバイオティクスといいます。
ヒトのカラダの中に存在する腸内細菌は、乳酸菌だけではありません。さまざまな細菌が腸内に存在し、大きく分けると3種類あります。ヒトの腸内で良い働きをする「善玉菌」、悪い影響を与えるとされる「悪玉菌」、どちらでもない「日和見菌」です。
体重60キログラムの成人のヒトの腸内細菌は、約100兆個にも及ぶといわれています。また、その全体を集めると、1.0~1.5kgの重量になるといわれています。
乳酸菌は、善玉菌の代表的な細菌です。善玉菌・悪玉菌・日和見菌は腸内でバランスを保っていますが、タンパク質や脂質が多く含む食事に偏ったり、不規則な生活になったりすることでバランスが崩れる可能性があるといわれています。
カラダの中の乳酸菌を活性化させるには、二つ方法があります。一つはプレバイオティクスである、糖の一種であるオリゴ糖や、食物繊維を摂取することです。オリゴ糖や食物繊維を多く含む食品には野菜や果物、大豆や大豆製品などがあり、これらが乳酸菌のエサとなります。乳酸菌を意識しすぎると栄養が偏る可能性があるため、栄養バランスを考慮しながら野菜や果物などをとり入れることがおすすめです。
二つ目はプロバイオティクスである、乳酸菌を多く含む食品を摂取することです。食品から摂取した乳酸菌が腸内に届いたとしても、そのまま定着して存在し続ける可能性は少ないといわれています。そのため、乳酸菌を多く含む食品を定期的に摂取することで、良い影響が継続すると考えられています。
乳酸菌を多く含む食品を食べても消化酵素の影響を受け消化の過程で死んでしまう乳酸菌もありますが、これらはカラダの中にいる乳酸菌に影響を与え、健康をサポートすると期待されています。
乳酸菌の種類をいくつか見ていきましょう。
- ブルガリア菌
ブルガリア菌は、ブルガリアヨーグルトに用いられている乳酸菌です。細長い棒状の形状をしており、ラクトバチルス属に分類されます。ブルガリア菌は、ラクトバチルス ブルガリクスと呼ばれています。ブルガリア菌は、腸内に住みつくことができません。しかし、腸内で乳酸菌や善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える効果があります。
- サーモフィルス菌
サーモフィルス菌は、レンサ球菌の形状をしており、ストレプトコックス属に分類されます。サーモフィルス菌は、ブルガリクス菌の生育をサポートします。そのため、サーモフィルス菌は、ブルガリクス菌と組み合わせて用いられることが多いです。サーモフィルス菌は、粘質物を形成し、ヨーグルトの硬さを作り、離水を防ぎます。
- アシドフィルス菌
アシドフィルス菌は、人の体内にもともと存在する乳酸菌になります。アシドフィルス菌は、ラクトバチルス属に分類されます。アシドフィルス菌は、熱や酸に強く、直接腸内に働きかけることができる乳酸菌になります。アシドフィルス菌は、古くから世界中でたくさんの発酵乳などに利用されています。
- ヘルベティカス菌
ヘルべティカス菌は、細長い棒状の形状をしており、ラクトバチルス属に分類されます。ヘルべティカス菌は、CM4株とも呼ばれ、チーズの製造にも使われる乳酸菌です。CM4株を使用した臨床試験では、継続的に摂取することで睡眠の質や生活の質の改善、皮膚の角層や水分量の増加などの効果が見られるといわれています。
- ビフィズス菌
ビフィズス菌は、ビヒダスヨーグルトに用いられている善玉菌です。ビフィズス菌は、桿状でYやVのように枝分かれしている形状であり、多形性桿菌になります。ビフィズス菌は、ビフィドバクテリウム属に分類されます。ビフィズス菌は、通常の乳酸菌とは全く異なった種類の細菌です。人や動物の腸内に存在する代表的な善玉菌であり、特に乳児の腸内に多く存在しています。
- ラクトコッカス菌
ラクトコッカス菌は、ストレプトコッカス属に分類されます。ラクトコッカス菌は、昔から最初に原料乳を発酵させるための乳酸菌として使用されています。ラクトコッカス菌は、チーズやサワークリーム、バターなどの乳製品を製造する過程で使用されています。ラクトコッカス菌は、凝乳作用をサポートします。また、チーズの熟成過程においては、乳成分を分解し、チーズに特有の匂いと風味をつけます。
- ロイコノストック菌
ロイコノストック菌は、ロイコノストック属に分類されます。ロイコノストック菌は、チーズやバターの乳製品を発酵させる過程で使用されています。
- カゼイ菌
カゼイ菌は、ラクトバチルス属に分類されます。カゼイ菌は、人の腸内に多く存在し、腸内に定着する時間が長い菌になります。ビフィズス菌同様、悪玉菌を抑制し、腸内環境を整える善玉菌です。乳酸菌飲料に含まれているのがこの菌です。
- ロイコノストック菌
日本酒に含まれているのがこの菌です。チーズやバターの製造過程でも使用される乳酸菌です。漬物や納豆はこの菌で香りを醸成させます。
- ラクトバチルス菌
チーズやバターの乳製品を発酵させる過程でも使用され、日本酒にも含まれています。
- シールド菌
お菓子やアイスに入っている乳酸菌です。シールド菌は、盾のように外敵から人の身体を守る働きから名付けられた乳酸菌です。シールド菌は、人の腸壁内側にいる免疫細胞に刺激を与え、免疫細胞を活性化する働きがあります。
- カゼイ菌
カゼイ菌はお菓子やアイスに入っている乳酸菌でラクトバチルス属に分類され、乳酸菌飲料にも使用されています。
▼乳酸菌の効果

乳酸菌は、腸内を酸性側に傾け腸内の腐敗を抑えたり、腸のぜん動運動を助けて便秘を改善する効果があります。また、免疫機能の向上や、中性脂肪・血中コレステロール値の低下といったはたらきも知られてきました。菌の種類ごとに効果についてまとめてみます。
- ブルガリア菌
ブルガリア菌は、腸内で乳酸菌や善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える効果があります。また、腸の蠕動運動を活発にし、腸壁から水分を吸収し、便通を良くする効果があります。ブルガリア菌は、免疫力を高める効果や美肌効果もあるといわれています。
- サーモフィルス菌
サーモフィルス菌は、腸内のバリア機能を高める効果があります。また、腸内の免疫細胞に働きかけ、免疫力を高める効果や美肌効果もあるといわれています。
- アシドフィルス菌
アシドフィルス菌は、熱や酸に強く、腸内環境を改善する効果があります。また、腸内の免疫力を高める効果や口臭改善、胃潰瘍予防の効果もあるといわれています。
- ヘルベティカス菌
ヘルべティカス菌は、血圧調整作用や疲労回復効果があります。また、寿命延命効果、抗腫瘍効果、免疫を活性化させる効果(花粉症を和らげる効果も期待できます)、ストレス低減効果、学習記憶力向上効果、うつ症状を軽減する効果など多くの生理機能効果が明らかになっています。
- ビフィズス菌
ビフィズス菌は、整腸作用の効果があります。また、病原菌の感染や腐敗物を生成する菌の増殖を抑制する効果、うつ症状を軽減する効果もあるといわれています。
- ラクトコッカス菌
ラクトコッカス菌は、肌の水分量の減少を抑制する効果があるといわれています。また、毛穴の目立ちが改善するという効果もあり、美肌効果があると考えられています。
- ロイコノストック菌
ロイコノストック菌は、肥満に関係する腸内細菌の減少、コレステロール値の改善、短鎖脂肪酸の増加による体重減少の効果があるといわれています。
- カゼイ菌
カゼイ菌は、腸に優しい善玉菌のサポートをし、悪玉菌を抑制する効果があります。そのため、下痢や便秘を整える整腸作用があり、ダイエットサポートの効果も期待できます。また、花粉症の鼻症状にも効果があるといわれています。
- シールド菌
シールド菌は、小腸に存在し、免疫細胞に働きかけ、活性化させます。シールド菌は、風邪などの感染予防、高齢者のインフルエンザワクチン効果を高めるなどの作用があるといわれています。
▼効果的な摂り方と注意点
乳酸菌はさまざまな食品製造過程で利用されています。生きたままの乳酸菌が含まれている食品のほか、製造過程で加熱され、生きた乳酸菌が含まれていない食品もあります。乳酸菌は生きていても、死んでいても健康づくりに役立つといわれており、乳酸菌を取り入れられる食品の選択肢はたくさんあります。
食べ物から摂取した乳酸菌は、一定期間腸内に留まりますが、住みつくことは少なくいずれ体内から排泄されてしまいます。そのため、乳酸菌を摂りすぎても健康に問題はないといえます。
乳酸菌は1種類だけではなく、2種類以上混ぜて摂取しても問題はありません。乳酸菌は、体質によって合う合わないがありますが、種類によって体内で活動する場所が異なり、効果も異なります。さまざまな自分にあった乳酸菌を摂取するために、乳酸菌を含む食品は栄養バランスを考慮しながら、適量、毎日摂取し続けるのがよいでしょう。
▼乳酸菌を含む代表的な食品
代表的な食品として、以下の四品があげられます。

- ヨーグルト
ヨーグルトの歴史は古く、紀元前から食べられていたといわれています。動物の乳を原料にして、乳酸菌やビフィズス菌を加えて発酵させた乳製品です。日本で身近に手に入るヨーグルトは牛乳を原料としているものが多いですが、羊やヤギ、馬などの乳が使われていることもあります。液体である動物の乳が固まってヨーグルトに変化するのは、乳酸菌が作った酸によって乳に含まれるタンパク質が凝固するためです。ヨーグルトは種類によって使われている乳酸菌が異なることがあります。
- チーズ
チーズは「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」の2つに大きく分けられます。ナチュラルチーズは、牛や羊、ヤギなどの乳に乳酸菌、凝乳酵素を加え、凝固したタンパク質を取り出して成形し、熟成させるか、または熟成をしないで作られています。プロセスチーズはナチュラルチーズを原料にし、加熱して溶かしてから再び固めて作られているチーズです。スライスチーズやキャンディーチーズなどが、主にプロセスチーズにあたります。
- 漬物
漬物は、野菜などを塩や調味液、ぬか床、酒粕などに漬け、保存性を高めたものです。漬物によって材料や製造過程が異なり、全ての漬物で乳酸菌が摂取できるわけではありません。乳酸菌を摂取したい場合は乳酸発酵を利用した、ぬか漬け、しば漬け、すんき漬け、野沢菜漬け、千枚漬け、キムチなどを選ぶことがおすすめです。ヨーロッパで食べられている、キャベツを漬けたザワークラウトも漬物の一種で、乳酸菌を摂取できます。
- 乳酸菌飲料
乳酸菌飲料は、牛乳などを乳酸菌または酵母で発酵させ、甘味料や果汁、香料などを加えた飲み物です。さまざまな種類があり、生きた乳酸菌が含まれているタイプと加熱殺菌したタイプに分けられます。甘味料を多く含む製品もあるため、エネルギー摂取量が気になる場合は、飲む量や頻度の調整をしながら取り入れることがおすすめです。
このほか、タブレットや粉末プロテインの中にも乳酸菌が摂取できるものがあります。

▼まとめ
・乳酸菌は糖を利用して乳酸を大量に作り出す微生物の総称である
・乳酸菌は便通の改善、コレステロールの低下や免疫機能を高め、がんを予防する効果を持っている
・乳酸菌を含む代表的な食品にはヨーグルト、チーズ、漬物、乳酸菌飲料があげられる
・乳酸菌を含む食品は栄養バランスを考慮しながら、適量、毎日摂取し続けるのがよいとされる
