目次

▼マグネシウムとは何か
▼マグネシウムの働き
▼マグネシウムの効果
▼効果的な摂り方
▼マグネシウムが使われている商品と注意点

▼マグネシウムとは何か

マグネシウムは原子番号12、元素記号Mgの金属元素の1つです。実用金属の中で1.7の比重を持つ最軽量の金属で、アルミニウム2.7、チタン4.5、亜鉛7.1、鉄7.9の比重であることからも、ほかの金属と比べても軽いことがわかります。マグネシウムはリサイクルして再利用することも可能です。工業利用としては、アルミニウム合金への添加材として使用されることが多いです。製品としては、自動車部品、電子機器部品、福祉用品などさまざまなものに利用されています。このように工業利用されることが多いマグネシウムですが、実はマグネシウムは私たちの体に必要なミネラルの一種でもあり、体内でも重要な役割を担っています。

マグネシウムは体内に多く含まれるミネラルの1つで、300種類以上の酵素の活性化に関係しています。体の中では、筋肉の収縮、神経情報の伝達、体温の調整、血圧の調整、タンパク質の合成、血糖コントロールといったような働きにかかわる酵素の補助因子として働いています。生命維持のためにも大事なミネラルの1つであるといえます。

マグネシウムはリンやカルシウムとともに歯や骨を形成したり、体の中でさまざまな代謝を助けたりしています。成人では体内に約20~30g存在しています。そのうち約50~60%がリン酸塩や炭酸塩として骨に沈着しています。残りの約40%は筋肉や脳、神経に存在します。カリウムに次いで細胞内液に多く存在しますが、細胞外液には1%未満しか存在しません。体内では、多くの酵素を活性化して生命維持に必要なさまざまな代謝に関与しています。

食品として摂取したマグネシウムの吸収は、主に小腸で行われ、腎臓で排泄されます。腸管での吸収はビタミンDによって促進され、過剰のカルシウムやリンによって抑制されます。摂取量が不足すると、腎臓でのマグネシウムの再吸収が促進されたり、骨からマグネシウムが放出されたりすることで、マグネシウムの血中の濃度を一定に保っています。

▼マグネシウムの働き

マグネシウムの主な働きをまとめてみます。

  1. 骨や歯の成長や強化

マグネシウムは、骨や歯にリン酸マグネシウムや炭酸水素マグネシウムの化合物として存在しています。骨の主成分はカルシウムが一般的ですが、実際はカルシウムだけでなく、マグネシウムも骨に存在し強度を保つ働きをしています。

またマグネシウムは骨芽細胞に働きかけ、骨の中に入るカルシウム量を調整しています。

カルシウムをたくさん摂っても、マグネシウムが不足してしまう場合があり、マグネシウムが不足していると、骨の形成に影響を与えてしまうことになります。

マグネシウムの不足が、骨粗鬆症に影響している可能性があるとされています。

  1. 酵素の働きを手助けする

マグネシウムは、体内に存在する300種類以上の酵素に働きかけ、補助因子として働いています。私たちの体を動かすために必要なエネルギーを産生する過程で、多くの酵素が関係しますが、マグネシウムは、その補助因子でありエネルギーを産生するために必要不可欠なミネラルになります。特に、炭水化物からエネルギーをつくるときには、マグネシウムが必要です。マグネシウムがないと、効率よく生体活動ができなくなります。

  1. 神経情報の伝達

マグネシウムは神経情報の伝達を正常に保ちます。神経の興奮を抑える働きがあり、それによって、精神状態を安定に保つ働きがあります。また、他にもタンパク質やDNAなど核酸の合成を助けます。体温や血圧などの生体維持機能の調整にも関わっており、生体にはとても大事なミネラルの1つといえます。マグネシウムは精神を安定させるセロトニンやGABAなどの脳内ホルモンに関わり、神経伝達にも大きく関与しています。そのためマグネシウムが不足することで、不安症や抑うつ症状を引き起こします。

  1. 筋収縮の制御・血管拡張作用

マグネシウムには、筋収縮の抑制の働きもあります。筋肉はカルシウムの働きによって収縮しているため、マグネシウムがカルシウムを抑制させることで筋肉を緩めることができます。血管内の筋肉も緩めるので、血管を柔軟に保ち拡張しやすくして血圧の調整にも作用します。マグネシウムが不足することで、筋肉がスムーズに収縮できなくなります。

必要以上に収縮してしまうことで、痙攣やこむら返りなどが起きます。心臓や血管も筋肉でできています。マグネシウムが不足すると心臓の筋肉がスムーズに動かなくなってしまいます。心臓の筋肉が規則正しく収縮できず、不整脈などが起きます。また血管が収縮しすぎることで高血圧や狭心症、心筋梗塞などを発症しやすくなります。

実はマグネシウムとカルシウムには密接な関係があります。細胞内に多く存在するマグネシウムは、他のミネラルが細胞に出入りするように調整しており、カルシウムはミネラルの一種で細胞の電気伝達に必要です。マグネシウムはカルシウムの調整をしています。カルシウムは細胞内に留まると石灰化してしまいます。細胞内での働きが終わったカルシウムは、マグネシウムによって細胞外へ排出されます。マグネシウムが不足し、カルシウムが細胞内に留まると、さまざまな障害を引き起こしてしまいます。

ちなみに、マグネシウムとカルシウムの比は1:2が理想とされており、マグネシウムとカルシウムのバランスが、生体年齢を決めているといわれています。このバランスが崩れることで、さまざまな問題が出てきます。

マグネシウムが不足すると、骨の形成への影響、筋肉のけいれん、食欲不振、疲れやだるさ、下痢・便秘のような不調が起こる可能性があります。不足する原因としては、ストレス、リンやカルシウムの過剰摂取、多量のアルコール飲用、利尿剤の長期使用などがあります。

血中のマグネシウムが不足すると、腎臓でマグネシウムの再吸収が促されたり、骨からマグネシウムを取り出して、マグネシウム量が一定になるように保とうとします。

厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」で示されている1日のマグネシウムの推奨量は、30~49歳の男性では370mgで、30~49歳の女性は290mgです。

骨の健康を保つにはカルシウムが欠かせません。このカルシウムはマグネシウムと密接に関わっており、マグネシウムは骨の強度を保つのに利用されています。血中のマグネシウムが不足すると、骨からマグネシウムを取り出すため、同時に、カルシウムも不足するのです。

▼マグネシウムの効果的な摂り方

ほとんどの食材にマグネシウムは含まれています。そのため、通常の食事で不足することはほとんどありません。それぞれの食品のマグネシウムの含有量とおすすめの摂取法を紹介します。(データ引用:文部科学省-「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」)

  1. 穀類のマグネシウム

毎食の主食として取り入れることができます。代表的なものとしてお米(玄米・五穀・麦芽米)などがあり、含有量(可食部100g当たりの成分量)をまとめますと発芽玄米:53mg、ライ麦パン:40mg、そば(ゆで):27mg、ぶどうパン:23mg、マカロニ・スパゲッティ(ゆで):20mg等になります。

  1. 藻類のマグネシウム

みそ汁や和え物などとして食べるのがおすすめです。藻類は、昆布やわかめ、のり、あおさなど水中で生育する植物の総称です。含有量はあおさ(素干し):3,200mg、あおのり(素干し):1,400mg、乾燥わかめ(素干し):1,100mg、ほしひじき(乾):640mg、カットわかめ(乾):460mg等となります。

  1. 魚介類のマグネシウム

魚介類は刺身としてそのまま、煮たり焼いたりもできます。

含有量は干しえび(加工品):520mg、しらす干し(半乾燥品):130mg、あさり(生):100mg、はまぐり(生):81mg、きんめだい(生):73mg等があげられます。

  1. 野菜類のマグネシウム

野菜は1日350g以上摂ることが推奨されています。熱を加えてかさを小さくするとより食べやすくなりますね。含有量は千切りだいこん(乾):160mg、らっかせい(生):100mg、ほうれんそう(生):69mg、えだまめ(生):62mg、ごぼう(生):54mg、モロヘイヤ(生):46mg等です。

  1. 豆類のマグネシウム

みそ汁の具材や冷ややっこ、湯豆腐など主菜や副菜、汁物など多くの食べ方ができるのが豆類です。含有量はきな粉(黄大豆):260mg、油揚げ(生):150mg、蒸し大豆(黄大豆):110mg、糸引き納豆:100mg、木綿豆腐:57mg、絹ごし豆腐:50mg等があげられます。

ただし、マグネシウムは摂取量と関係なく、条件によって排出される場合があります。

ストレスや喫煙などで、尿中に捨てられる量は多くなり吸収率も変化します。マグネシウム不足を予防するためには摂取量だけが問題ではありません。摂取量だけでなく、ストレスなどの環境因子についても見直す必要があります。

マグネシウムを摂取していても、他の成分によって吸収が阻害されることがあります。

またマグネシウムが吸収されず、排泄量が増えることもあります。その原因の代表として添加物、リン酸塩があります。リン酸塩は加工品や清涼飲料水、カップ麺などに多く含まれている添加物です。清涼飲料水やカップ麺は、できるだけ避けることをおすすめします。清涼飲料水の代わりに硬水を飲むのも1つの方法です。ナッツ類は間食やおつまみとして手軽にとれる食材です。マグネシウムだけでなく他のミネラルも多く含んでいます。ストックしておいて仕事の合間の小休憩に食べるという方法もあります。ただしできるだけ無塩のものを選び、ナトリウムを多く摂らないようにしましょう。

▼マグネシウムが使われている商品と注意点

マグネシウムは細胞や骨に広く分布しており、あらゆる食材に含まれています。食事からの摂取が難しい場合、サプリメントを活用するのもいいでしょう。サプリメントを服用する場合には、注意すべきこともあります。食事以外のサプリメントなどから摂取する場合は350mg/日が上限量とされています。サプリメントに記載されている用量や用法を正しく守るようにしましょう。

酸化マグネシウムの下剤やサプリメントとして1g/日2年間程度服用すると過剰になり、嘔吐や運動失調、除脈や呼吸抑制などの症状が出てくることがあります。

マグネシウムを摂り過ぎた場合は、過剰分は尿中に排泄されるので通常の食事では過剰症になることはありませんが、摂りすぎると、下痢を起こしやすくなります。

また、ダイエットや便秘などに効果があるといって摂取されている「にがり」(主成分は塩化マグネシウム)やサプリメントなど、通常の食事以外でマグネシウムを過剰に摂取すると、下痢を起こすことがあります。

酸化マグネシウムは腸内の水分を集め便を柔らかくすることで便がでやすくするので、便秘薬としても使われます。病院だけでなくドラッグストアでも購入することが可能です。便秘薬にもさまざまな種類があるので、服用されている方は成分表を確認してください。最近では乳酸菌の薬であっても、酸化マグネシウムが配合されているものもあります。

また腎臓の機能が低下している人は、高マグネシウム血症を発症する可能性があります。

血中のマグネシウム量が高くなるのが高マグネシウム血症です。腎機能が正常であれば発症することはほぼありませんが、腎臓の機能が低下している人は注意が必要です。

高マグネシウム血症の初期症状として、吐き気、嘔吐、起立性低血圧、徐脈、筋力低下、全身倦怠感、腱反射の減弱などがあります。さらに高マグネシウム血症が重度になってくると、血圧低下、腱反射の消失、嚥下障害、昏睡、呼吸抑制、心電図異常、心停止などの症状を引き起こします。

腎障害がある人はサプリメントを控えるか、服用する場合は医師に相談しましょう。腎臓だけでなく他の病気を発症している人は、他の薬との相互作用も考えられます。必ず、かかりつけの医師に相談して服用するようにしてください。

▼まとめ

・マグネシウムは金属元素でもあり、私たちの体に必要なミネラルの一種でもある

・マグネシウムには骨や歯の成長や強化、酵素の補助因子、神経伝達、筋収縮調整などの働きがある

・マグネシウムが過剰になると運動失調、除脈や呼吸抑制などの症状がおこる

・マグネシウムが不足すると骨の形成への影響、下痢・便秘などの症状が起こる

・腎機能が低下している人は注意が必要である